2008.11/29(Sat)

鼓笛隊の襲来  著者:三崎亜記

『となり町戦争』を書いた著者の今年出した短編集です。
9編のタイトルは以下の通り。

「鼓笛隊の襲来」「彼女の痕跡展」「覆面社員」「象さんすべり台のある街」
「突起型選択装置(ボタン)」「「欠陥」住宅」「遠距離・恋愛」「校庭」「同じ夜空を見上げて」

タイトルどおりの不思議な話しばかりでした。
たとえば「覆面社員」。

由香里が覆面を被って出社した。
それは淡いブルーの覆面で、目の周りにピンクの縁取りが色を添えており
耳の部分には小さな羽飾りが揺れていた。

こんな書き出しで始まったお話の設定は
労働者の精神衛生面での権利保護の観点から、「覆面を被る権利」に
ついての議論がなされ、覆面労働に関する法律(通称「覆面法」)が成立し施行されてから
七年後の日本という、ちょっと普通じゃ思いつかないようなもの。

「となり町戦争」もすごい発想だと思ったけど、台風のように襲来する鼓笛隊や
本物の象が公園につながれ、すべり台として活躍しているなんてことを
よく思いつくよなぁと感心します。

不思議な設定の世界の中でも人間の悩みはリアルな世界とそう変らないもの。
エンターテインメントでもあり純文学でもあるような
そんな不思議な本でした。
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